第一章   「冷え」こそ万病の原因 その3 
          --- 驚くべき実証、身体を温める治療効果 ---
  
 (18) 糖分を燃やせば糖尿病は治る!

 身糖尿病の人に日本酒の熱燗をすすめる理由

 50歳の会社社長のM氏は、ここ数年来糖尿病です。 空腹時血糖値が 150~160㎎/dl あり、医師に食事療法を指示されています。 このまま 160㎎/dl 以上が続けば経口糖尿病薬を投与する、といわれているため、M氏は一日の総摂取カロリーを 1600Kkcal に抑え、好きなアルコールも極力減らして頑張っています。 しかし、身長165cmで65㎏の体重はなかなか減りません。
 お茶や水分が好きで、お茶を飲んでも太るという体質です。

 糖尿病にいい漢方薬はないかと探し、クリニックを訊ねてこられたので診察すると、小太りで元気そうな様子ですが、身体全体が柔らかく足も冷え、いわゆる冷え性(陰性)の体質でした。 体温も36.2~36.3と低い状態です。
 そこでM氏には体内に多すぎる水分で糖分の燃焼が妨げられているのために、高血糖賞、つまり糖尿病になっていることを説明しました。

 対策として、身体を冷やす原因になっている水分(水、お茶、コーヒー、炭酸飲料など)の摂取を抑えること、散歩やスポーツなど週に2~3回以上できる運動を継続的に続けること、食べ物は常によく煮た温かいものを食べること。 アルコールもビールやウイスキーなど水分が多くて身体を冷やすものより、煮品種の熱燗を飲むこと、入浴はやや温かめ(42℃くらい)のお湯に長めに入ること、週に1~2回はサウナで汗(水)をしぼり、体を温めることなどを指示しました。

 その結果、2ヶ月くらいの間に体重も約5㎏減少し、現在では空腹時血糖値も120㎎/dlくらいとほぼ正常化しています。

 以前から糖尿病には日本酒はよくない、洋酒のほうがいいという「迷信」があるようですが、糖を燃やしてくれる作用のある日本酒の熱燗は、むしろ糖尿の人にはより適切なお酒なのです。

 (19) 水太り解消は体を温めるのが早道

 水でもお茶でも太る人へのダイエット・ドリンク

 肥満の専門家たちは、肥満の原因は「摂取カロリーが排泄エネルギーより多い」ことであると主張し、やせるためにはカロリー制限、運動量の増加を指導します。
 しかし、私たちの周りには「水を飲んでも太る」という人がいます。 人間の体重の60~65%は水分であることを考えると、
「体重が増える」ということは「水が増える」ことと同じと言ってもいいのです。

 
 漢方では「太る」ことと「むくむ」ことをあまり区別しませんが、女性の大根足は下肢のむくみと大いに関係しています。
 むくみの正体は「水」なのですから。
 ナメクジに塩をかけると、水分が出て縮んでしまうように、女性の「下肢やせ」の方法のひとつとして、自然塩によつマッサージがあるのも当然でしょう。

 漢方の肥満改善薬である防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は「色白、水太りの体質で、汗が多く、膝関節に痛みができやすく、虫などに刺されやすい」体質の人に使う薬です。 つまり、水太りの改善薬なのです。 これは、体を温める作用のある生姜や大棗(たいそう)(ナツメ)と、利尿作用のある白朮(びゃくじゅつ)や防已(ぼうい)などによってできている漢方薬です。

 よって、女性の水太り(女性の肥満はほとんどがこのタイプです)への対策は、よく歩いたり、スポーツをしたり、十分に入浴をして身体を温め、発汗や利尿をうながして水分を体外に捨てることが肝要です。 それ以前に、牛乳、お茶、清涼飲料水、コーヒー、果物などで水分を摂り過ぎないこと。 水分を摂るなら体を温め、利尿、発汗作用のある生姜紅茶を飲むことです。 

 (20) 炎症や発熱を冷やしてはいけない

 発熱は老廃物の分解・燃焼作業

 日常、私たちが一番よく経験する病気が、気管支炎、肺炎、ぼうこう炎など「炎」のつく病気です。 「炎症」とは文字通り「炎」の症状であり、体内の老廃物が燃えている状態です。 英語で炎症を意味する inflammation の flame も「炎」の意味です。

 この炎症には2400年も前のヒポクラテスの時代から、四徴(よんちょう)(四つの兆候)があるとされています。 発熱、発赤、腫脹(しゅちょう)(腫れ)、疼痛(とうつう)の四つです。
 扁桃腺炎を考えてみるとよくわかります。 扁桃腺が腫れて痛み、赤くなって発熱します。 よって、肺炎もぼうこう炎も胆のう炎も、全て同様の症状があるわけです。
 現代医学では、炎症の原因として病原菌(細菌、ウイルス、真菌など)を目の敵にし、炎症の結果出る熱を少しでも下げようと試みます。 しかし、自然医学的に見ると、これは大いなる間違いです。

 人間がこの地球上に出現して200万年あまりといわれていますが、細菌などの微生物は何億年も前から地球上に存在していて、いわば先住生物です。
 細菌はもともと、死んだもの、老廃物、余剰物を腐敗・分解して土に戻してくれる天命を持って存在しているのです。  もし、地球から細菌がいなくなったら、全ての動植物が死んでも腐敗・分解されないで、地球上のゴロン、ゴロンと放置されることになり、次に生まれてくる生命の生存場所がなくなるでしょう。
 その細菌を人間の勝手によって抗生物質で殺してもいいものでしょうか。
 こう考えてくると、炎症が起こり病原菌が身体に侵入する理由は、体内に余分な栄養過剰物、老廃物が山積みされた結果、それを分解し、燃焼するために、ご親切に入ってきてくださるということなのです。 発熱とは老廃物、余剰物が燃えている様子であり、炎症のときに起こる食欲不振は、これ以上余分なものを入れまいとする体の正常な反応なのです。

 ドイツのイセルス博士は「世界には二人の名医がいる。それは発熱と食欲不振である」と喝破(かっぱ)していますが、まさにこの炎症においては、この二人の名医が一番顕著に活躍するわけです。

 したがって、炎症が起こった時に解熱剤を使ったり、抗生物質を用いたりするのは十分に慎重に、よほどのことがないかぎり避けるべきです。

 一方、民間療法や漢方では、炎症を大変合理的にとらえているようです。
 風邪をひき、首のこりや頭痛、ことに寒気や発熱が生じてくると、漢方では葛根湯(かっこんとう)を処方します。
 これは、桂皮(けいひ)、シャクヤク、大棗(ナツメ)、生姜、葛根(クズの根)、麻黄(まおう)、甘草(かんぞう)からできており、身体を温める作用があります。 よって、服用後20分もすると、身体が温まり、急速に風邪症状が抜けていきます。
 民間療法の卵酒(熱燗に日本酒を入れる)、レモンウイスキー(お湯割のウイスキーにレモン汁をしぼる)、生姜湯、梅干に熱いお茶なども、体を温めながら風邪や炎症を治療する方法です。
 このように東洋医学では発熱性疾患に対して、むしろ熱を補うような治療をします。

 漢方薬は長く服用しないと聞かないという通説がまかり通っていますが、これは間違いです。
 漢方医学のバイブルとされる「傷寒論(しょうかんろん)」は、文字通り、寒さや傷(やぶ)られた身体(つまり「冷え」からくる風邪などの炎症)に使う官報を論じたものなのです。


 栄養過多がさまざまな感染症を誘発する!

 さてもうひとりの名医、食欲不振についてお話してみましょう。

 炎症をはじめ、あらゆる病気にかかると食欲がなくなります。 これは、胃腸を休めて、胃腸での食べ物の消化に費やすエネルギーを、病気を癒すほうに使おうとする身体の反応です。 それなのに、病気になると「体力をつけるために」と、患者本人も周りの人も、そして医師たちさえも、無理に食べさせよう、食べさせようとします。 食べたくないのに食べても、つかれきっている胃腸は十分な消化ができず、また、それが炎症の原因になる老廃物をたくさん作ってしまいます。

 アメリカのミネソタ大学医学部教授のM・J・マレイ博士が、世界的に最も権威のあるイギリスの医学誌「Lancet」の1977年1月15日号に発表された論文が、このことについて決定的な事実を示しています。
 「飢餓(きが)が病原菌の感染に対して抑制的に働く」というのがその趣旨です。
 これは、1975年、博士らが飢饉(ききん)のサハラ砂漠を訪れ、遊牧民に食料を与えたところ、その食糧供給が始まってからまもなくして、突然にマラリアが発生してきたという事実を発端にして、その後いろいろな事例をも考察、検討を加えて結論付けたのです。

 「エチオピアのソマリア遊牧民にも、飢餓のとき食糧供給が行われると、マラリア、ブルセロージス(高熱・解熱を長期的に繰  り返すので、波状熱(はじょうねつ)ともいわれる感染症)、結核などがおこってきた」

 「中世のイギリスにおける痘瘡(とうそう)は、貧しい人々より金持ちの人々をより多く苦しめた」

 「第二次世界大戦のとき、ある過密状態にあったキャンプにおいて、低栄養状態におかれた人びとが、ハシカやチフスに対し て最低の罹患率(りかんりつ)を示した」

 「1830年代に、E・チャドウィックがイギリスの刑務所において行った調査によると、十分に栄養を与えられていた囚人が、  病気(感染症)の罹患率23%、死亡率0.4%であったのに対して、低栄養にされていた衆人は、罹患率3%、死亡率0.16% と有意な差が認められた」

そのほかにも、

 「インドにおいては乾季になり草木がなくなると、動物(家畜)のエサが少なくなり動物は痩せ細るが、その時、家畜の羅漢率 は最低になる。一方、モンスーンの季節になり、新しい草が茂り、それを食べて動物が太ってくると、動物の流行病が急に増 えてくる」

という面白いエピソードもあります。

 これまで述べたことと表裏一体をなしていますが、栄養過多が感染症を誘発することをマレイ博士は指摘しています。 というのは、極度に栄養状態の悪化している患者に静脈からの点滴により高栄養を与えると、重篤な感染症をおこす事例が、しばしばおきることがわかってきたからです。
 こうした事象を説明するメカニズムとして、同博士は「われわれが食べる食べ物の中の栄養素は、我々の体の維持よりも病原菌の分裂、増殖のほうに利用されるだろう」と指摘しています。 つまり、われわれが生きていくのに必要最低限量以上の食べ物を身体の中に入れた場合、これが老廃物、余剰物となり、病原菌がはびこるためのエサになるという意味です。
 これに引き続いて同博士は、こうした事実に対する推論を証明するための実験をした結果「感染症にかかったとき、食欲不振に陥るが、これは病原菌に対する身体の防衛機構の表現である」という論文をまとめ、アメリカ臨床栄養学会の雑誌に発表しています。 その実験の概要は次のようなものです。
 「ネズミ100匹を4群にわける。その4群を感染していないネズミと、腹腔内に病原菌を入れて無理に病気をおこさせたネズミ との2群ずつにわける。 この2群ずつをさらに自由に食べさせる群と、チューブを胃に入れて無理に食べさせる群に分けて、 死亡率と平均生存日数を見る」という実験です。
 その結果、一番早く死んでいったのは、胃にチューブを入れて無理に食べさせられた群で、逆に一番長生きをしたのは、本能の命ずるままに食べ物を摂らず、水だけを飲んでいた群でした。
 この実験でいえることは、感染症(病気)にかかったときに、体力をつけるためにという理由で無理に食べることが、いかに身体にとって悪いのかということです。

 マレイ博士も結論として「食欲不振は、自分の身体の防御反応に重要な役割をはたしている」と述べています。ということは、病気になって食欲がなくなるのは、これ以上、体の中に老廃物、余剰物、酸毒物の病原物質をつくらないための身体の防御反応であり、自然治癒力の表れなのです。こうした諸事実により、炎症とは身体内の老廃物を燃やしている状態であり、身体を冷やすよりむしろ温めるような生姜湯やレモンウイスキー、卵酒を口にするほうがいいということがわかります。炎症にかかったら、保温に注意し、無理に食べたりせず、水分やビタミン、ミネラルを多く含んだ食べ物(リンゴをすったもの、果実、プルーンなど)を摂って安静にすることが一番大切であるということでしょう。

 (21) 膠原病(こうげんびょう)などの難病も「冷え」と重大関係

 手足が白くなる「レイノー現象」がその証(あかし)

 関節リウマチや強皮症、S・L・Eなどの難病は自己免疫病とされ、原因不明、治療法なしとされる病気です。
 しかし、こうした膠原病に共通する症状は、高原繊維が増えて、皮膚が硬くなる、内臓が硬くなる、食道や肺も硬くなるという点です。 水を冷やせば硬く(氷に)なります。 寒いところに手を出すと硬く(かじかむ)なります。
 つまり、膠原病は「冷え」の病気なのです。 難病も「冷え」が関係しているというと驚かれるかもしれませんが、これこそ女性に多い女性特有の病気なのです。。
 冷え性が女性に多いというのもうなずけますし、膠原病の診断基準のひとつに、寒いときに手指が白くなってこわばる「レイノー現象」があるのもうなずけます。
 ですから、膠原病も身体が温かくなる食べ物を十分に食べ、体を温める方法(運動、マッサージ、入浴、サウナ、断食など)で治る可能性は十分あるというわけです。

 
 (22) 動脈硬化、老化現象は「冷え」そのものである!

 人間は「赤ちゃん(温)」で生まれ「白ちゃん(冷)」(老人)で死ぬ

 動脈硬化は老化の一現象ですが、これにより引き起こされる心筋梗塞、脳梗塞も老化現象そのものと考えていいでしょう。
 動脈硬化、心筋梗(硬)塞、脳梗(硬)塞などの「硬」は、文字通り「硬い」ことを表します。
   (以前の医学の学習では「梗」は「硬」と表現していた)

 前にも述べたように、水を冷やすと氷になります。 つまり硬くなります。 手を冷たいところへ持っていくとかじかみます。 
つまり、硬くなるわけです。 よって、動脈硬化、胆石、腎臓結石など硬(固)くなる病気も、熱が足りない、つまり「冷え」が原因だということが出来るのです。

 中国のことわざに

  「ドアのハンドルの動き絶えざれば、錆びつくことなし。人間も然り。動き多ければ、病にかかることなし」

とありますが、まさに至言でしょう。

 「人は血管とともに老いる」ともいわれますが、血行が悪くなり、組織・細胞に栄養や酸素が運ばれにくくなると、老廃物も増え、体温も低下して老化していく、ということでしょう。

  人間は「赤ちゃん」で生まれ「白ちゃん」で死にます。
「白ちゃん」とは老人のことで、髪は白くなり、白内障を患い、体温も低くなり、身体やその動作も硬くなります。 赤ちゃんは熱が高いので赤いですが、白ちゃんは夏が低いので白っぽくなるのわけです。
 やはり老化も「冷え」からくると考えていいでしょう。

 (23) 肌や髪の毛の衰えも「冷え」を取ることで改善!

 血行をよくすれば、肌と髪に艶がでる

 肌の三大大敵は、紫外線と血行不順、冬の大気の乾燥とされています。 毛髪も皮膚の一種なので、毛髪の異常(細くなる、少なくなる)に対するケアも、肌のケアと同じ方法を講じればいいのです。
 紫外線については、オゾン層の破壊で年々強力になる傾向にあるので、とくに夏場には、過度に皮膚や髪をさらさないことが肝要です。
 あと二つの問題ですが、これは皮膚への血行を良くすると乾燥もしなくなるので、やはり血行をよくすることが、皮膚を若々しく、しなやかに保つポイントになります。
 入浴後は、皮膚が柔らかく輝いているものです。 皮膚や毛髪への血行をよくするためには、身体を温めることが、肌と毛髪の若さを保つ上で一番大切なことです。

 バセドウ病(甲状腺機能亢進(こうしん)症)の人の肌は、きめ細かく湿潤で、若々しく見えます。 バセドウ病は甲状腺が働きすぎて体温が上昇する病気ですが、逆に甲状腺機能低下症の人の肌はカサカサと乾燥しています。
 よって日ごろ、散歩をはじめ、スポーツをする、入浴でゆっくり温まる、陰性食品を少なめにして、養成食品をしっかり食べて体温を上げることが、身体全体を温め、皮膚や毛髪への血行をよくして、皮膚に輝きを与え、しなやかで生き生きとした髪の毛を保つ最上の方法ということになります。

 また、女性ホルモンは、皮膚や髪の毛をしなやかに保つ作用がありますが、最近、大豆の中から、ダイゼインやゲニスタインという女性ホルモン様物質が発見され、美肌に大変効果的なことがわかってきました。 豆腐、みそ汁、納豆など大豆製品を大いに食べましょう。

 なお、漢方薬としては、血行をよくする桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)(体力が中程度の人以上)か当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)(色白、ポッチャリタイプの体力のない人)に、美肌効果抜群のハトムギからできた薏苡仁湯(よくいにんとう)を服用されるといいでしょう。
 もちろん、両手の3本の指(人差し指、中指、薬指)の腹裏で髪の毛や顔面を軽くマッサージして血行をよくしてやることも大いに効果があります。

 (24) 血液をサラサラにするには「冷え」を取り去る!

 「水分」の摂りかたを間違えてはいけない

 「血液をサラサラにする」という言葉が流行しています。
 健康診断で指摘される高脂血症、高血糖(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)、多血症・・・など、血液内の栄養物質や常在成分が多くなりすぎると、当然血液はドロドロしてきます。 そのほか、疲労物質である乳酸、ピリピン酸をはじめ、腫々の老廃物が血液内に多くなっても血液は汚れドロドロしてきます。
 日本人の死因の第2位の心筋梗塞(約15万人)や、3位の脳梗塞(約14万人)も、血液ドロドロの結果、冠動脈や脳動脈に血栓がおきた病気です。 よって、「ドロドロ血液をサラサラにして健康を保つ」というような健康書がよく売れるわけです。

 血液をサラサラに保つには、

 ➀ 水分を大いに飲む。
 ➁ 食べすぎをしない(とくに肉、卵、牛乳などの高脂肪食)。
 ➂ よく歩いたり、運動をする
   (動脈硬化を予防する善玉のHDLコレステロールが増える)。
 ④ 適度なアルコール
   (一日につき、日本酒なら2合、ウイスキーダブルなら3杯、ビール大瓶    なら2本、ワイングラスなら2~3杯は、HDLコレステロールを増やし、
   血管の内皮細胞から、ウロキナーゼという血栓溶解物質が産生される)
 ➄ 血栓溶解物質のピラジンを含むセリ科の植物
   (セロリ、ニンジン、パセリ、セリ)や、
   発酵食品(チーズ、みそ、しょうゆ、納豆)を存分に食べる。
   とくに納豆には、ほかにもナットウキナーゼという強力な血栓溶解物質が   入っているのでさらにいい。
 ➅ 血栓を溶かす作用のあるタウリンを含む、エビ、カニ、イカ、タコ、貝類、
   カキ(牡蠣)をしっかり食べる。
 ➆ ゆっくりと気分のいい入浴をする
   (プラスミンという血栓溶解物質が産生される)。

 など7点が推奨されます。

 しかし、砂糖水も塩水も、それを入れた容器を冷やすと糖分や塩分が固まって出てくるし、逆に温めると、いくらでも溶けていきます。
 これまで何度も述べてきたように、水は身体を冷やすため結果、物を固まらせる懸念があります。 そのため、西洋医学でいう「血液をサラサラにするため水をたくさん摂る」というのは、両刃の剣になりうる面があるのです。

 よって、血液をサラサラにするためには、水、緑茶、コーヒー、清涼飲料水、ビールなど身体を冷やす陰性の飲み物は極力避けて、紅茶、生姜紅茶(はちみつ入り)、番茶、ハーブティ、こぶ茶など、身体を温め血栓を溶かす水分を摂ることが大切です。

 (25) 人の生命維持と見逃せない「冷え」の関係

 体温と脈拍の”死の交差点”

 人が一番よく死ぬ時刻は、明け方(午前3時から5時ごろ)です。 また、喘息発作が起こるのも、アトピー性皮膚炎の人がかゆくてたまらなくなるのも、同じ時刻のころが多いようです。 一体なぜなのでしょう。

 入院すると数時間おきに看護士さんが来て、体温と脈拍を測っていきます。 その後、カルテにそれを記録します。 
仮に、ある重症患者さんの一日の体温と脈拍が図のようであったとしましょう。

 一分間の脈拍は、60~80回がへいきんで、体温が1℃上昇するごとに大体10回くらい増えるのが普通です。
 この患者さんもあさ10時に体温が36.5℃で脈拍が70回でしたが、午後2時には37.5℃で80回、午後6時に38.5℃で90回と上昇します。しかし、午後10時以降は体温が下降をはじめ、脈は引き続き増加しています。
 体温と下降線と脈の上昇時の交差点を、ドイツ語で Toten Kreuz (死の交差点)といい、この人は確実に死ぬと判断できるひとつのサインです。もちろん体温の低下とともに、脈拍も減るときは交差しないのでそういうことはありません。 
 つまり、死の直前まで心臓は血液を送らなければならないので、心臓の力の低下を回数を増やして補おうとするため脈拍
(心臓の鼓動数)が増えますが、体温は生命の力が落ちるとともに下降してきます。 この二つの現象の差が「死の交差点」なのです。

 このように、体温というのは、生命、抵抗力、免疫力に一番大切なものですが、人間の体温も一日中の気温も一番低くなるのが、午前3時から5時です。 つまり、このときに人間が最も死にやすいのです。

 喘息、アトピー性皮膚炎などアレルギー現象は「冷え」と「水」の病気だと説明しましたが、体温と気温が一番落ち込む午前3時から5時にこれらの症状が悪化する理由は、もう説明する必要はないでしょう。


第2章 あなたは「冷え性(陰性体質)」か「熱性(陽性体質)」か へ





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